昼のディナー?

土曜日にホームステイ先に到着したものの、少し休むつもりでそのまま夜まで寝てしまったので、その家に住む人たちと会話ができたのは翌日の日曜日のお昼だった。

わたしは知らなかったのだが、この家の主婦でもあるシルビアは平日はわたしのボランティア活動先の学校の校長先生なので、あまり料理らしい料理はせず(というか、時間的にも無理だった)、日曜の昼の「ディナー」の時に週一度、手をかけてローストチキンをつくったり、ビーフを焼いたりする。

今、あなたは「昼のディナー」に引っかからなかっただろうか。わたしは最初に聞いたときは、自分の聞き間違いかと思ったが、そうではなかった。平日の忙しいさなかにささっと食べるのは「ランチ」なのだが、日曜日のお昼は家族と囲む正餐なので、食べる時間ではなく、その重要さで「Dinner」と呼ばれるのである。ちなみに、夕食はSupper(サパー)。

さて、朝食は各自好きなように食べて、みんなで食卓を囲むのはお昼の「Dinner」と知らなかったわたしはおなかをすかせてお昼をまち、そこで初めてシルビア以外のそこの家の家族と対面した。

ちなみに、「渡英を決めるくらいだから、その頃、もうペラペラだったんでしょう?」と思われているとしたら、それは大きな間違いである。そもそも、わたしが英語を学ぶ楽しさに目覚めたのは、中学生になって間もなく母に勧められて聞き始めたNHKのラジオ講座だった。基礎英語、続基礎英語、ラジオ英会話・・・と聞き続けたのが、わたしの英語の一番の基礎である。大学生になってアルバイトをしても英会話学校に通えるほどの余裕がなく、大学の近くの「クリスチャンセンター」の英会話クラスに通ったのが、学校以外の場でネイティブ講師と学んだ初めての機会だった。だから、リスニングも万全ではなかったけれど、いちばんの問題は英会話だった。

最初の食事の際、家族は楽しそうにどんどん話すのだが、とにかく聞くのがせいいっぱい。しかも、この家の人たちは話す話す。何か言おうかな、と思っても、すぐに言葉にできなくて、そしてまた次の話題に移っていき、必死に聞いて自分の言いたいことを考えて、ああ、また話題がかわった・・・の繰り返しだった。

ちなみに、その日のディナーに参加したのは、シルビアと娘のメリッサ、息子のチャーリー。確かメリッサのボーイフレンドのロブも来ていたと思う。オーペアのディータもいたはずだ。

そのほかの下宿人、アンドリューは留守がちだったし、モーリスはいつも自分で手をかけて料理し、キッチンの片隅の窓の外のお庭が見渡せる席で赤ワインを傾けながら一人で食事を楽しんでいた。

オーペア(住み込みでベビーシッターをしつつ英語を勉強しに来ている非英語圏出身者)のディータも、基本的には土日は自由に外出して良かったようで、日曜のディナーにはいないこともあった。

この日のディナーは、確かローストビーフかローストチキンと、付け合わせのポテト。パンかヨークシャープディングに、サラダとスープもあったかもしれない。そして、デザートのケーキは冷凍されていたパブロバ(メレンゲを焼いたケーキで、わたしはイギリスで初めて出会って大好きになった)を解凍したものだったと思う。

夕食は、お昼の残りと、それをアレンジしたもの。

BBCのアンティークショーや旅行番組を見ながら家族で食べるのが習慣だった。

そして、翌日の月曜日の朝、いよいよ初めてボランティア先の学校へシルビアとともに「出勤」したのだが、意外なことが待っていた。

 

 

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